台徳院殿霊廟模型について台徳院殿霊廟模型について

英国ロイヤル・コレクションの一つ英国ロイヤル・コレクションの一つ

展示の中心となるのは、英国ロイヤル・コレクション所蔵の「台徳院殿霊廟模型」です。台徳院殿霊廟は二代秀忠公の御霊屋(おたまや)として、1632年(寛永9年)、三代将軍家光公によって境内南側に造営された壮大な建築群でした。徳川家霊廟の中で最も壮麗とされる日光東照宮のプロトタイプとなった霊廟で、1930年(昭和5年)に国宝に指定されましたが、1945年(昭和20年)5月の戦災により焼失してしまいました。この模型は、いまではモノクロ写真でしか往時の姿をしのぶことができない台徳院殿霊廟の主要部分が、10分の1のスケールで製作されたものです。1910年(明治43年)ロンドンで開催された日英博覧会に東京市の展示物として出品。博覧会終了後に英国王室へ贈呈され、ロイヤル・コレクションの一つとなり、英国にて大切に保管されてきました。

台徳院殿霊廟模型

台徳院殿霊廟模型

女王陛下より増上寺へ霊廟模型の長期貸与が決定女王陛下より増上寺へ
霊廟模型の長期貸与が決定

模型の製作は、東京美術学校(現東京芸術大学)が行い、古宇田実教授(建築)、高村光雲教授(彫刻)両名の監修のもと、明治末期の最高の技術をもって、忠実に再現しました。
英国側がこの模型を日本で展示し、ひろく一般公開する意向を持ち、英国大使を通じて徳川御宗家並びに増上寺への協力依頼により本計画が実現しました。展示室を開設し一般公開することは、日英文化交流にとって友好のしるしとなること、そして模型が持つ美術工芸品的、資料的、歴史的価値を多くの人に知っていただける好機だと増上寺では考えています。

台徳院殿霊廟本殿内部

【台徳院殿霊廟本殿内部】写真提供:奈良文化財研究所

台徳院殿霊廟模型

【台徳院殿霊廟模型】本殿天井部分
Royal Collection Trust / ©Her Majesty Queen ElizabethⅡ2015

台徳院殿霊廟模型

【台徳院殿霊廟模型】修復を終えた本殿部分。
総体は朱漆塗で建具、破風板廻りは金箔押し(漆箔)がほどこされている。
Royal Collection Trust / ©Her Majesty Queen ElizabethⅡ2015

1996年に英国文化財保存財団によるCG合成写真

【1996年に英国文化財保存財団によるCG合成写真】
Photograph by English Heritage,Reproduced by kind permission of The Royal Collection Trust / ©Her Majesty Queen Elizabeth ll 2015

よみがえる徳川将軍霊廟よみがえる徳川将軍霊廟

台徳院殿霊廟模型は、本殿・相の間・拝殿・中門・透塀から成り、全体で4×6メートルもの大きさがあります。日英博覧会の後、ロンドン・キューガーデンにて公開されていましたが、その後解体され、英国王室コレクションの倉庫に保管されてきました。 2014年(平成26年)4月に日本到着後、本殿の修復及びクリーニングが小西美術工藝社により行われ、その輝きを取り戻しました。今回の展示では本殿の屋根を外し、極彩色の内部空間を鑑賞できるようにするなど、様々な工夫がされます。

狩野一信「五百羅漢図」も同時に展示狩野一信「五百羅漢図」も同時に展示

台徳院殿霊廟模型は常時展示し、併せて平成23年(2011年)、江戸東京博物館で初めて全100幅が公開され話題となった狩野一信作「五百羅漢図」、法然上人伝(重要文化財)など、増上寺所蔵の文化財を順次展示いたします。
「五百羅漢図」は江戸末期に活躍した狩野派の絵師・狩野一信により描かれた全100幅の絹本着彩画。各画にほぼ5名ずつの羅漢が描かれ、100幅あわせて五百羅漢現出の様態が、執拗ともいえるほどの描きぶりで精細に表されています。展示の関係上、全100幅すべてを一度に公開することは出来ませんが、より多くの方に、狩野一信による「五百羅漢」の描写をご覧頂ければ幸いです。

写真左【狩野一信「五百羅漢図」第10幅】
                写真右【狩野一信「五百羅漢図」第9幅】

写真左【狩野一信「五百羅漢図」第10幅】
写真右【狩野一信「五百羅漢図」第9幅】

宮川香山展
【企画展】
宮川香山展 ― 驚異の明治陶芸 横浜・眞葛ミュージアムコレクション