お知らせお知らせ

増上寺から大切なお知らせ

 先般の令和2年7月豪雨により、大変な思いをされている皆様にお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方には衷心よりお念仏申し上げます。コロナ禍により、歯痒い思いでいらっしゃる方も多いかと存じます。1人ひとりの他者への思いやりが実を結び、1日も早い復興を念じ上げます。それぞれの立場でそれぞれが今出来る事を。皆様の安穏を切にお祈りいたします。

 さて、朝夕日毎に涼しくなり、早咲きの秋桜が花開く季節となりました。

 思えば、令和2年の幕開けは、誰もが夢あふれ希望に満ちたアニバーサリーイヤーに心躍らせ新年を迎えました。しかしながら、突如として現れた目に見えぬ脅威は、瞬く間に世界中に拡がり、人類を脅かすパンデミックとなりました。

 この数ヶ月、多くの情報に溢れ、報道を耳にする度に不安に駆られ、こころ落ち着かぬ日々であったことでしょう。稀に見る大変な事態に直面している私達ですが「うつらない・うつさない」ための「STAY HOME」或いは「ソーシャルディスタンス」といった取り組みの中に、1人ひとりの他者への思いやりの心が多く見受けられました。大変な時だからこそ、他者を想い、人々が心を寄せ合う。そんな美しい文化が日本にはあります。

 日本最古の歌集『万葉集』からの出典である元号の「令和」には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められています。1人ひとりが他者を想うことによって、人々が「美しく心を寄せ合う」。これは、古来より日本人の意識の中に根付く「おかげさま・おたがいさま」の心があるからに違いありません。

 人は誰1人として自分1人だけで生きているのではありません。見えざる力によって支えられ、今があるのです。あらゆるものは、それそのものだけで存在しているのではなく、多くのおかげさまによって、そのものが成り立っているのです。そして「おかげさま」で生かされている我が身だからこそ、困ったり大変な時には「おたがいさま」と思って、手を差し伸べて心を寄せ合う。まさに日本人の美しき徳性ですね。

 「新しい日常」或いは「新しい生活様式」と言われている今、不自由な日々でありますが、我慢に徹しながらも、心の豊かさを求め、より一層1人ひとりが他者を想い「美しく心を寄せ合う」ことを願って止みません。増上寺もまた「新しい日常」の中にあっても、これまでと変わらぬ「心の安らぎ」の場であり続けることを、ここにお約束いたします。

 目に見えぬ脅威により、いまだ不安な日々をお過ごしのことと存じます。み仏のご守護のもと、皆様の安穏と世界の安寧を切に念じ上げます。