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年頭のごあいさつ

あい難き元祖様のみ教えに出会えて

 法然上人の『一紙小消息』に示される御法語の中に「うけ難き人身をうけて、あい難き本願にあいて」とあります。幸いにも阿弥陀様のご本願に出会えたこと、そしてそのお陰で、お念仏によって阿弥陀様のお浄土へ往生ができると知りえたこと、これを「生れ難き浄土に往生せんこと、よろこびの中のよろこびなり」と語っておられます。

 このよろこびは、そもそも法然上人が人間としての生を享けたからこそであり、また比叡山での30年近い生活があり、その中で、中国の善導大師の御書物の導きをいただき、あい難き阿弥陀様の御本願に出会えたのです。

 まさに850年前、法然上人はそのよろこびを胸に浄土宗を開宗されました。元祖様にとってはあい難きお念仏の教えでしたが、今日の私たちは容易に元祖様のみ教えに接することができます。その一方で、人間として生を享けた私たちは、あい難き教えでもあるのです。

 なお本年より増上寺の三解脱門(三門)の本格的な保存修理工事が始まります。この工事は増上寺の開宗850年の記念事業の一環で、全国のご寺院方・檀信徒の方々の浄財を基に進めております。間もなく三門の仮囲い、素屋根の覆い工事により通行ができなくなります。また工事車両の出入りなどで、ご参詣の方々にはご不便をおかけすることになりますが、ご理解いただきたく存じます。

法主 小澤憲珠

新年のごあいさつ

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 昨年は法然上人開宗850年という節目の年でした。数年前より正当年にあわせて諸堂宇の整備や布教教化事業を進めてまいりまして、昨年4月には新装なった大殿で、増上寺浄土宗開宗850年慶讃会・令和6年度御忌大会を盛儀のうちに執り行うことができました。お力添えをいただきました皆様に衷心より感謝申し上げます。

 慶讃事業には今後も継続するものがあり、中でも三解脱門の大修理は令和14年度まで8年間に及びます。1月の正五九黒本尊祈願会明けから三門を覆う素屋根の建設を始め、素屋根が完成する夏頃から楼上の仏像を運び出し、本格的な修復工事に入ります。ご不便をおかけいたしますが、引き続きご理解、ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

 本年で終戦から80年になります。戦後、人々の生活水準は上がり技術は飛躍的に進歩しましたが、今なお戦争はなくならず、少子高齢化、格差社会、自然災害の増加など、様々な社会問題も深刻化しています。そのような中、法然上人のみ教えにより共生・平和の社会をつくるため、増上寺の役割を改めて考え、精励してまいりたいと思います。

 全ての人が安穏に暮らせるようになることを祈念して、年頭のご挨拶といたします。

合掌

執事長 小林正道