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年頭のごあいさつ

開宗850年を迎えて ―時宜を得たお念仏の教え―

年頭のごあいさつ  年が改まりましたが、師走も押し詰まった頃に、実は梅の花の蕾も膨らみ始めていました。寒に入り大寒へと季節は進みますが、梅の花の開花も間近にきています。

 本年は法然上人が浄土宗を開かれて850年の正当の年になります。『一紙小消息』に「末代の衆生を往生極楽の機にあててみるに」とあります。末代とは、お釈迦様亡きあと遥かに時代が下った現今という意味ですが、法然上人在世時の仏教界の時代観です。法然上人はさらに後世の850年後に生きる私たちをも見据えて、阿弥陀様のご本願に順じたお念仏の教えをお示し下さっています。

 法然上人は京都大原の里で、仏教界の碩学と問答をした折り、「機根比べには源空(法然房源空が僧名)勝ちたりき」(『四十八巻伝』第六)と述懐しています。時代を見据え、その時代に生きる人々に見合った教え、それが本願に順じたお念仏の教えでした。また「浄土門は浅きに似たれども当根に適い易し」とも述べています。

 ついつい智者のふるまいをしてしまいます。しかしその教えは、当根、つまり今の時代に生きる人々には時宜を得ているのです。時宜を得て梅の花は開花します。時宜を得たお念仏の教えであれば、阿弥陀様のお救いが得やすいというのが、法然上人の浄土開宗の主旨です。

法主 小澤憲珠


新年のごあいさつ

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 年が明け、いよいよ法然上人の浄土宗開宗850年の正当の年となりました。皆様と共にこの慶事を祝い、法然上人のみこころを心に改めて明記する年としたいと存じます。

 当山では4月2日より開宗850年慶讃会、そして御忌大会が厳修されます。晴れやかな中に厳粛な法要が勤められるまであと3ヶ月となりました。皆様のお参りをお待ち申し上げます。

 お蔭様で慶讃事業もコロナ禍を乗り越えてほぼ順調に推移しております。

 大殿については、大地震が起きても参拝の皆様の安全が確保されるよう耐震補強工事を施し、本堂の壁を厚くする工事等、各所で進めてまいりましたが、昨年末に無事完了いたしました。工事中はご不便をおかけいたしましたが、ご理解いただきありがとうございました。

 大事業である三解脱門大修理も、慶讃会円成後まもなく、本格的な工事に入ります。その他の教化事業等も進捗しております。

 これもご寺院はじめ、檀信徒、講中、有縁の皆々様から尊い浄財をお寄せいただいていることによるもので、改めて感謝の念を表します。
なお、勧募期間は再来年3月までとなっておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 本年は開宗850年慶讃事業をはじめ、世の中の大きな変化の中、伝法を中心とした伝統を核心として大切にしながら、この時代に首都東京の増上寺に求められているものを常に探り、より多くの方々に、安らぎ・こころの触れ合いの場を提供し、社会への貢献を実行し、法然上人のお念仏の弘通に努めてまいります。

合掌

執事長 小林正道