暑い毎日が続きますが八月のお盆の行事が全国各地で行われ、帰省の人々で賑わう昨今です。
さて今月のことばは「常に仰せられける御詞」より選びました。このご法語の出典は『法然上人行状絵図』二十一で法然上人が常にお教えになられた法語をまとめたものです。
今月のことばを現代文にすると次のようになります。
五逆という大罪も念仏往生の障りにはならない、そうと知ってはいても、よくよく気を付けて小さな罪も犯すまいと思うべきであります。往生にはわずか一遍のお念仏でも不足はない、そうわかってはいても、数多く称えようと思うべきです。この一遍のお念仏で往生は叶うのだと信じつつ数多く称えるよう励み行ずべきなのです(浄土宗総合研究所『法然上人のご法語』)。
このうち五逆とは、五つの逆罪で五逆罪といい大変重い罪であります。その内容は①母を殺す ②父を殺す ③聖者を殺す ④仏の体に傷をつける ⑤教団の和合を破壊し分裂させることの五つでありますが、今日の社会では肉親や親族間での殺人や学校の先生を殺す事件なども多発している恐ろしい時代でもあります。思えば私たちは悪いことをしようと考えなくても、いつのまにか悪いことをしています。ずるい心や怠けてみたり、人の悪口を言ったり嘘をついたり、パワハラ・セクハラ数えたら切りがありません。実に人間とは賢そうで愚かな生き物です。
しかしながらこのような人間に救いの手を向けていただくのが阿弥陀様なのです。阿弥陀様の慈悲は広大であり、いかなる罪を犯したものでも、一回のお念仏で往生させていただけると『観無量寿経』に説かれています。
だからといって罪を重ねたり、怠けてはいけません。人の心は弱く移り変わりの激しいものです。常に仏思いの心を相続するためには念仏の中に生活することが大切です。
しっかりお念仏を申しましょう。
教務部長 井澤隆明