今年の夏は遅くまで暑い日が続きましたが、いよいよ秋本番を迎える頃となりました。
さて今月は「大胡の太郎実秀が妻室のもとへつかわす御返事」という御法語より選んでみました。大胡氏の所領は北関東で渋谷道遍や津戸三郎などと並んで法然上人の古くからの門弟で、特に大胡氏は祖師より数通の消息(手紙)が与えられたことで有名です。
さて今月のことばの内容は、お念仏を称えて往生を願う人は、お釈 様や阿弥陀様の御心に適っている方です。
お念仏以外の諸行を修して往生を願う人は、お釈迦様や阿弥陀様の御心に適っていない方です(『法然上人の御法語①消息編』浄土宗総合研究所編訳)、となります。
ところで阿弥陀様の本願である念仏によってすべての人の往生浄土が叶うということは、浄土三部経や、浄土の祖師方の多くの著作などでもはっきりと示されています。その中でも特に『阿弥陀経』の中に次のような経文がございます。
舎利弗、不可以少善根、福徳因縁、得生彼国。舎利弗、若有善男子善女人、聞説阿弥陀仏執持名号、若一日、若二日、若三日、若四日、若五日、若六日、若七日、一心不乱、其人臨命終時、阿弥陀仏、与諸聖衆、現在其前、是人終時、心不顚倒。即得往生、阿弥陀仏、極楽国土。
舎利弗よ、念仏以外の少善根や倫理、道徳などの福徳の因縁をもって彼の国に往生はできません。舎利弗よ。もし善男子善女人ありて阿弥陀仏の名号を聞きて、名号を執持するに、もし1日〜もし7日の間、一心不乱ならば、その人命終わる時、阿弥陀仏諸々の聖衆と共に、その人の前に現れます。この人命終わる時、心顚倒せず。阿弥陀仏の極楽国に真っすぐに往生します。
このようにお釈迦様は念仏を執持する者が往生することをしっかり説かれています。
二尊の心念仏にあり。よくよくお称え致しましょう。
教務部長 井澤隆明