浄土宗開宗850年奉賛局だより(5月)
2024.05.01
変わるけど変わらないもの
往古は香を焚き、衣服にその香りを移したと聞きます。柑橘系やフローラル系など、様々なものに香りをつけることが流行った時期もありました。周囲に配慮してのことか最近は無香料の製品を好む方が多くなっているように思えます。
五月まつ花橘の香をかげば
昔の人の袖の香ぞする
『古今和歌集』詠み人知らず
父母の香りや赤ちゃんの匂いはどことなく懐かしく感じるものです。お家にはその家その家に漂う香りがあります。
もちろん増上寺にも独特の香りがあります。同じお線香や抹香(焼香の際に使われるお香)を使い続けていて初めて醸成される香りです。
香りと同様に、色や形はそれを見る人にそこはどこなのか、いつなのか、どのような存在なのかという情報をくれます。例えば、朱色の大きな三解脱門はそれを見ただけで、東京芝・徳川家ゆかりの歴史ある増上寺を想起させてくれます。また枝が払われスリムになったとはいえ、三門近くのグラント松は万古不易の青々とした色をもって増上寺境内にその存在感を示してくれています。
開宗850年正当の慶讃会・御忌大会を終え、増上寺はまた新たな時代に歩みを進めます。変化はあれど、そこには一貫して変わらぬものも感じられることでしょう。
5月晴れの中、ぜひお参りをいただき、境内の香りや色を感じ、令和6年浄土宗開宗850年の節目にある増上寺の佇まいを記憶していただければと思います。
奉賛局部長 中村瑞貴
勧募事業のご報告
増上寺浄土宗開宗850年慶讃事業完遂に向け、平成31年よりご寺院、檀信徒、関係諸団体等の皆様に浄財のご志納をお願いしてまいりました。ここにご志納状況を報告いたします。
なお、ご寺院のご志納は令和8年(2026年)4月30日まで受け付けております。
今後ともお力添え賜りますようよろしくお願い申し上げます。