浄土宗開宗850年奉賛局だより(2024年1月)
2024.01.01
法然上人のみ教えつないで
いよいよ令和6年、浄土宗開宗850年正当の年を迎えました。
4月には慶讃会が恒例の御忌大会と共に盛大に開筵されます。全国のご寺院、檀信徒の皆様からご協力を賜り記念事業も順調に進んでいるところです。ご支援に感謝申し上げます。
今から50年前、浄土宗は開宗800年の年を迎え、僧俗共に大変な盛り上がりを見せました。師僧や教区の長老から盛大な法要の光景や雰囲気をよく聞かされたものです。それから50年、開宗850年の年を迎えたわけですが、さらに50年後の浄土宗開宗900年に当たる年にどのような言葉で今年の850年のことが伝えられるのでしょうか。
開宗850年を迎えるにあたり、私たちは新型コロナウイルス感染症の流行に翻弄されました。たまたま大変な時期に記念事業が重なってしまったと思われるかもしれませんが、実は特別なことではありません。
昨年は東日本大震災十三回忌でしたが、震災のあった平成23年は法然上人800年御忌の正当年でありました。100年前の開宗750年は関東大震災の影響を色濃く残していたと記録されています。
東北の方々は過去を振り返るとき、「あれは『震災前』、『震災後』だったかな」と歳月を表現することが多いそうです。将来開宗850年を振り返るときには、「コロナ前後」と振り返られるのかもしれません。浄土宗の歴史は社会の変化の中にあるのです。
このたびの慶讃事業では、建立400年の三解脱門大修理や、大殿の屋根瓦総葺き替え、耐震補強など、これまで大切にされてきたものを残していく事業を進めてきました。
一方、未来に広がっていく事業も進めています。その一つが、ご法主台下のご巡教です。ご法主台下が東日本の各教区をめぐり、お念仏のみ教えを直々にお諭しになります。阿弥陀様、元祖様、増上寺そしてお念仏を唱える皆様とご縁を未来につないでいくものです。
増上寺には宋版、元版、高麗版の計約12,000点にも及ぶ大蔵経が所蔵されていますが、このたび、デジタルデータ化され、世界に向けてウェブ上で無料公開されました。
すなわち、仏教、浄土宗、増上寺の歴史が過去から未来へとつながっていく縦糸と、東京、日本からアジア、そして世界へ広がっていく横糸が紡がれていくのです。
開宗850年が法然上人のみ教えを受け継ぎ、未来につなげていく大切な節目になる。そのことに思いを致し、正当年も歩みを進めてまいります。
奉賛局部長 中村瑞貴