お知らせ

浄土宗開宗850年奉賛局だより(5月)

2023.05.01

初夏のお誘い 〜夏のご詠歌に託して〜

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 薫風爽やかな好季節を迎えました。この8日から新型コロナウイルス感染症は、感染症法上5類感染症に位置付けられることとなりました。コロナ前の生活が戻れば嬉しく思います。

 五月晴れの中、本年は日本各地で多くの催し物が開催されることでしょう。増上寺でも恒例の「正五九黒本尊祈願会」が15日に行われます。德川家康公の念持仏である秘仏「黒本尊」(勝運の仏様といわれています)をご開帳し、ご祈願する法要ですのでぜひご縁をお結びください。

 実は同日、京都では賀茂の祭が行われます。その祭りでは、社殿の御簾ばかりでなく行列の人や馬にまで葵草が掛けられ飾られるそうです。そのため「葵祭」ともいわれ、現在はその名で親しまれています。

 われはただ 仏にいつか 葵草
    心のつまに 掛けぬ日ぞなき

〈意訳〉私はただひたすら阿弥陀様にいつかお会いしたいと思い、葵草を物の端に掛けるように、阿弥陀様への思いを心の端に掛けない日は決してありません。

 法然上人は、阿弥陀様への思いとお念仏の実践をこのようなお歌に込められました。「葵(あふひ)」と「逢う日」を掛けた絶妙な表現をなさっておられます。また、葵祭では物の端に葵草を掛けて飾るということと、阿弥陀様への思いを常に心の端(心の中)に掛けているというご自身の信仰を重ねて詠まれています。


 増上寺の伽藍のあちらこちらに葵草が掛けられているように葵の意匠が使われています。

増上寺はご存じの通り德川家の菩提寺です。葵祭の葵はふたば葵ですが、德川家のそれは三つ葉葵です。増上寺にご参詣いただきますと德川家の葵の御紋を様々な場所で目にすると思います。

 建立から400年が経ち、令和の大修復を控えている三門ですが、それを見つけることはできるでしょうか?

 爽やかな空の青には、朱漆塗りの三門が似合います。会う日と時間を決めたなら、待ち合わせ場所は「増上寺の三門の葵の紋のところ」とご指定の上、お出かけ下さい。

(令和5年3月20日執筆)