聖冏上人600年・観智国師400年遠忌事業奉修
2019.10.01
聖冏上人600年・観智国師400年遠忌事業奉修
本年は浄土宗第7祖 聖冏上人600年遠忌、増上寺中興・観智国師の400年遠忌を迎えます。
大本山増上寺では、浄土宗開宗850年慶讃事業として、下記概要で両上人の遠忌事業を行います。
聖冏上人
聖冏上人は暦応4年(1341年)、佐竹氏の一族として常陸国久慈郡岩瀬(現 茨城県常陸大宮市)に生まれ、瓜連常福寺(茨城県那珂市)了実上人の元で出家しました。
了実上人をはじめ、浄土宗第5祖蓮勝上人、定恵上人に浄土宗学を学び、その後各地を遍歴しながら、浄土宗のみならず各宗派や神道についても修学を重ね、常福寺に戻られ膨大な著作を残します。晩年は聖聰上人の招きにより江戸へ向かわれ、江戸小石川の草庵(のちの伝通院)で80年のご生涯を閉じました。聖冏上人の業績は、増上寺開山聖聰上人、常福寺第3世了智上人、飯沼弘経寺開山良肇上人などから、多くの門弟に受け継がれ、のちの浄土宗の礎をなっていきます。
聖冏上人は、当時各派が乱立していた浄土宗内の教義的・教団的な統一を図り、浄土宗の教えの正当性を周囲に示すとともに、独立した信仰教団としての組織作りを行いました。中でも大きな功績とされるのは、浄土宗の教えを体系的にまとめ、それを正しく伝える仕組みとしての「五重伝法」の形式を創設したことです。
浄土宗の教えが大乗仏教の正しい流れの中にあることを『浄土真宗付法伝』『顕浄土伝戒論』等によって証明し、5つの形式にまとめられた五重伝法は明徳4年(1393年)最初に愛弟子の聖聡上人に授けられ、今に続く浄土宗僧侶育成制度の根幹となりました。同年、聖聡上人は武蔵国豊島郡貝塚(現 東京都千代田区)に増上寺を開創します。そして、五重相伝をはじめ聖冏上人がまとめ上げた教えを引き継ぎ、近世に向けて発展させていくのです。
観智国師(存応上人)
観智国師(存応、1544〜1620年)は天文13年(1544年)由木利重の次男として武蔵国多摩郡由木(現 東京都八王子市)に生まれました。武蔵国片山村(現 埼玉県新座市)の宝台寺で時宗を学び、後に浄土宗に転宗して、増上寺第11世円也から五重宗派を授与されました。増上寺第12世となったのは天正12年(1584年)のことです。
天正18年(1590年)8月、小田原の後北条氏の旧領を与えられて江戸に入った德川家康公は、入府後すぐに増上寺の存応上人(のちの観智国師)と師檀契約を結び、増上寺を菩提寺と定めました。その後の存応上人の目覚ましい活躍と、増上寺の飛躍的な発展はここから始まります。
念仏は三毒を滅するか否かという安心 [あんじん] 問答に勝利し、家康公に政治的手腕を認められた存応上人は、家康公の働きかけにより慶長4年(1599)に一代の紫衣 [しえ] の綸旨を、同13年(1608年)には代々の紫衣(常 [じょう] 紫衣)の綸旨を賜ります。一方、増上寺は慶長3年(1598年)に現在の芝の地に移転し、同18年(1613年)9月までに、威風堂々とした三解脱門、本堂、経蔵といった、将軍家の菩提寺としてふさわしい大伽藍が建立されました。さらに、家康公は各地の寺院から宋版・元版・高麗版の一切経を召し上げ、増上寺に寄進しています。
こうして、家康公と結びつきを強めた存応上人により、増上寺は関東有数の大寺院となっていったのです。
聖冏上人600年遠忌報恩法要
【日時】令和元年10月3日(木)
【場所】増上寺大殿2階「本堂」
12:30 受付
13:00 法要 大本山 増上寺 88世法主 八木季生 台下御親修
13:50 基調講演「聖冏上人報恩」 大本山 善光寺大本願布教師会長 服部淳一 上人
14:40 総大本山布教師会による報恩法話
総本山知恩院布教師会 中村晃和 上人
大本山増上寺布教師会 慶野匡文 上人
大本山善導寺布教師会 早田空善 上人
聖冏上人御報恩巡拝の旅
【日時】令和元年10月4日(金)
【順路】増上寺〜伝通院〜常福寺〜誕生寺〜香仙寺〜東京駅〜増上寺
●お問合せ先
「了誉聖冏上人600年遠忌報恩の会」
東京都文京区小石川3丁目14番6号、伝通院内 事務局・井村、電話:03-3814-3701
※一般の方へご迷惑をおかけする事象が発生しております。電話番号をよくお確かめのうえ、お掛け間違いのないようお願い申し上げます。
観智国師400年遠忌法要
【日時】令和元年10月16日(水)
【場所】増上寺大殿2階「本堂」
14:00 法要 大本山 増上寺 88世法主 八木季生 台下御親修
15:00 記念講演(※増上寺光摂殿1階 講堂)
1:大本山 増上寺 教監 宇髙良哲 上人
「増上寺観智国師と德川家康」
2: 大本山 増上寺 布教師会会長 慶野匡文 上人
「観智国師を仰いで」
※同時開催:「観智国師400年遠忌記念団体参拝」
聖冏上人600年遠忌・観智国師400年遠忌 記念展
「聖冏上人と増上寺開山聖聡上人」 「増上寺中興観智国師と徳川家康」
本年は浄土宗第七祖聖冏上人六百年遠忌並びに、増上寺中興・観智国師の四百年遠忌に当たります。増上寺では、大本山増上寺浄土宗開宗850年慶讃事業と致しまして、両上人の遺徳を讃え、遠忌法要奉修と共に、展覧会を開催することとなりました。
増上寺宝物展示室を会場とし、増上寺の所蔵品を中心に、併せて聖冏上人と観智国師のゆかりのご寺院様ご所蔵の作品も含め、三十数点を展示し、両上人の足跡を辿り、その偉業を顕彰致します。
浄土宗寺院、檀信徒、関係者のみならず、より多くの方々にご来場いただき、聖冏上人・観智国師について知っていただく事ができましたら幸いです。どうぞ皆さまお誘いあわせの上、ご来山下さいます様ご案内申し上げます。
「聖冏上人と増上寺開山聖聡上人」
「増上寺中興観智国師と徳川家康」
【主 催】 増上寺
【会 場】 増上寺大殿地下1階「宝物展示室」
【会 期】 令和元年8月28日(水)~12月23日(月)
【開館時間】10:00~16:00(15:45 最終入場)
【休館日】 火曜日 ※火曜日が祝日の場合は開館
【入館料】 一般700円(税込)
※徳川将軍家墓所拝観共通券1,000円(税込)